試  作  室



  NO      名     称
     ユカイナ
     ルネサンス・リコーダー
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 ソプラノ・トリプルR管の音質改良
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1.ユカイナ

ホームページを見ていたら、偶然に 『ユカイナ』 という楽器にめぐり会いました。

新しい楽器ですから、まだ耳新しい名前ですネ。


付属の説明書によると、

”誰でも身近で楽しめる楽器” とするため、愉快な仲間が信州・伊那で作った四角い笛。
『ユカイナ』と名付けました。・・・「愉歌伊那(ゆかいな)」
木の奏でる優しい本物の音色 『木で出来たオカリナ』です。



この楽器にも物語がありました。伊那毎日新聞(2008・2・16)から引用してみます。

春になると美しい花を咲かせるサクラほど、学校に似合う木もない。
駒ヶ根市の中沢小学校の校庭には、沢山のサクラの木が植えられていました。
ところが、校庭の横を通る道路の改良工事に伴って、4本のサクラの木が,
切り倒されてしまいました。

バッサリ切って、「はい終わり」では、あまりにも忍びない!・・・と感じた先生たちが、
サクラを子供たちの思い出に残す方法を考えました。

思いついたのが、伊那市の工房とアイデア商品会社が開発した”手づくり楽器”
「ユカイナ(愉歌伊那)」として再生することだったのです。

考案者らが学校を訪れて、児童らに製作を指導した。
出来上がった「ユカイナ」は、一人一人の手の中で、温かく・優しい音色を奏でた。

大きかったサクラの木は、小さな楽器に姿を変えたが、どうかこれからも
子供たちの成長を見守っておくれ。




写真:伊那毎日新聞




写真:伊那毎日新聞






私も、早速「ユカイナ」のキットを買って試作してみました。

「キット」をそのまま組み立てるのでは、木工家としてのプライドが許さない。
キットを見ながら、一からコピーをしてみました。

出来上がったのが、下の写真のとおりのものです。




写真 : 上がチーク材のもの。下が、本体はカリン、
フタの部分がブビンガ材で作ったものです。



指穴は6穴で、 表が4穴、裏が2穴です。
音域は、”ド” から1オクターブ上の ”レ” までで、ソプラノ・コカリナと同じです。
音質は、硬い木で作ったためか、クリアーで非常に良い音がしました。
一見、子供のおもちゃのように見えますが、演奏に十分耐えます。
また、形がコカリナと違って丸くないので、指が滑りにくく、押さえやすい。





2.ルネサンス・リコーダー

去年の8月、リコーダー奏者のKさんの演奏を聞く機会がありました。
それ以来、リコーダーの音色の虜になってしまいました。

リコーダーの音色は、これまで何回か聞いたことがありますが、
Kさんの音色は 格別でした。



コカリナを作るようになってからは、音の出るもの・・・特に笛の類に興味が増しました。


演奏のために持ってこられたリコーダーを,見せていただきました。
種類も多く、大きさも、コカリナの比ではありませんでした。



リコーダーの音色に魅せられて、コピーを作ってみたいと思いましたが、
コカリナ製作用の機械では無理です。

ある時、インターネットでリコーダーを検索していたら、リコーダーの原型ともいえる
「ルネサンス・リコーダー」なるものが見つかりました。

この大きさなら作れそうだと思ったので、早速試作をしてみました。
木管は、内径18ミリ、外形26ミリ。
コカリナのソプラノ管と同じサイズで、調はC管。
歌口、風洞、窓、リップは、コカリナと同じにしました。


音孔は6個、音階は全塞で “ド”音。この音は、管の長さを切り詰めて合わせます。
長さは296ミリでした。
次の “ソ”音は、最初は小さめの下穴を開け、
吹きながら0.1ミリ単位のドリル刃で孔を拡大していって音を合わせる。
“レ”音が合ったら、次は“ミ”音を、同じような作業をして合わせる。
こうして、6孔全部を合わせると、1オクターブが完成。
全く気の遠くなるような作業でした。
こうして8月中旬に、試作品2本が完成しました。

Kさんには、今年は8月25日にお会いできるので、この2本を持っていって
試奏していただきました。



すぐにいろいろな曲を吹いていただき、批評していただきました。
結果は、素直なやさしい音色が出ているとのことでした。
そして、この音色は、クラッシックの曲に向いているのではないかとのことでした。

Kさんは、来年までに、このリコーダーを育ててみたいとのことでしたので、
1本はお預けしました。

来年までに、どのような音色のリコーダーに育ってくれるかが楽しみです。





ソプラノ・トリプルR管の改良


数年前、コカリナ・サークルの仲間から
“ソプラノ・トリプルのR管の音は何とかならないの?” と云われてしまいました。
それは、「音程」は合っているが「音質」が主管とは異なり、
違和感があると言うものでした。


そう云われてしまえば、製作者としては何とかしなければなりません。
そう思い立って、既に数年が経過してしまいました。



試作の段階で、先ず突き当たった問題は、
「音質を重視するか」 「指運びを重視するか」ということでした。

今の「R管」は、「音質」よりも「指運び」を重視した設計のように思えます。

管の径を太くすれば、低音部の「音質」が改善されることは分かります。
他の楽器でも、低い音を出すものは、すべて太いのです。

そこで、何処まで太く出来るかでした。
R管を太くすると、主管の指穴(音孔)がうまく押さえきれないということがありました。


       <現在のソプラノ・トリプル(表面)>


       <現在のソプラノ・トリプル(裏面)>









同じ製作者のKさんにアィデアを頂いたりしての試行錯誤を続けた結果、
ある程度の音質の改善が図られたので、何人かの方にモニターをお願いしたところ、
“良くなった” との評価を頂きました。





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